ポリアモリーとは何か 2021年最新版 私的ポリアモリー入門

ポリアモリーというものに興味を持ったのは一年前くらいだろうか。

恥ずかしながらそれまで概念自体を知らなかったのだ。ポリアモリーとはなんぞやと調べるうち、ポリアモリストとして活躍されているきのコさん、人類学者の深海菊絵さんのお話を知って、新たな世界観にワクワクした。

学生時代人類学を学んだので、複婚(ポリガミー)と言う概念は知っていたけど、複数愛(ポリアモリー)というのが面白く、新鮮だった。

契約から愛へ、家から個人へというパラダイムの推移がコミュニティのありかたを変えるのを感じた。

そして、自分の中にもそう言う気質がなくもないなと思ったことで、さらに興味が深まった(これについては、後述するけど、ポリアモリーとはちょっと違うと今は認識している)。

個人的にはポリアモリーは今後もっと大きな社会性を獲得していくと思っているし、未来にはもっと色々な愛の形、婚姻の形が生まれるのではないか、また、生まれて欲しいと思っている。

私は人と人との関係性の多様化(もちろん、モノガミーを含める)を支持する。関係性の多様性、流動性を確保することが、多くの人が生きやすい社会を創造することにつながると思うからだ。

ゆえにポリアモリーはLOVE &WONDERを立ち上げる上で絶対に取り上げたいなと思ったトピックであり、今回取り上げることができ、とても嬉しい。

年明けにはポリアモリーのイベント(ポリアモリーウィーク)にも参加する予定になっているので、これまでに知ったことなどをここに、一旦まとめておきたいと思う。

※もしここは違うと言うことがあれば、twitterなどを通じて連絡をしてほしいです。今後ポリアモリーを知りたいと言う人のためにも、この記事は逐次修正追記して行く予定です。

(ただし、ポリアモリーと言う概念自体が今まだ固定化されているわけではないと言うことはご承知いただきたく思います。修正についても、もといの個人的判断を踏まえて行って行きます)

ポリアモリーとは何か。

ポリアモリーは日本語では「複数愛」と訳されます。

一般的には、複数の恋人と同時並行的に恋愛するライフスタイルのことを指すことが多いです。

この時に「恋愛当事者同士の間の交際関係を相互にオープンにすること」が必要とされます。

当事者の中に秘密にされている人物がいる時、それはポリアモリーではありません。

創始者の一人、デボラ・アナポールは、ポリアモリーは、相手を束縛、支配、所有するなく、おたがいの自由、成長、愛のエネルギーの開放をめざしていく恋愛スタイルとのことだと語っています。

ポリアモリー対し、1対1の恋愛(を指向すること)をモノガミーと呼びます。

★追記★ 荻上チキさんの指摘

『恋人はひとり、じゃなくてもいい』の荻上チキさんの寄稿「数字と事例から見る日本のポリアモリー」によると、ポリアモリーの言葉の定義は揺れていて、ポリアモリストにおいても、その認識は一貫していないことを指摘されています。

現在の日本においては、以下のような意味でも「ポリアモリー」という言葉が使われています。

・1対1の恋愛に耐えられない、複数恋愛が好きな「性質」「傾向」としてのポリアモリー

・合意に基づく恋愛や性愛の「関係性」としてのポリアモリー

・ポリアモリー関係にあるものを指す「状態」としてのポリアモリー

・モノ規範から脱却したコミュニティやリレーションを形成するための「運動」としてのポリアモリー

ポリアモリーの歴史

ポリアモリーはアメリカから始まったライフスタイル。それがどのように始まり、広まったかを『恋人はひとり、じゃなくてもいい』深海菊絵さんの寄稿を参考に、年代をまとめてみました。

1884年 デボラ・アナポールがポリアモリーの団体を設立。

1988年 デボラ・アナポール、オベロン、モーニング夫妻が合意あるノンモノガミーについて話し合う。

1990年 ポリアモリーという言葉が現れる(モーニング・グローリーゼルがネオペイガンの雑誌ではじめて使用した。ただし諸説あり)。

1994年 ニアリングとアナポールが話し合い、2つのポリアモリー機関を一つに。会報を発行する。

2000年 ニューヨークのプレイドパレードにポリアモリーが参加。

2004年 デボラ・アナポール『ポリアモリー 恋愛革命』が日本で出版される

2005年 ポリアモリーウィークリーというポッドキャストやポリアモリーニュースというブログがスタート。

2010年頃から 世界中でポリアモリーの集いが行われるようになる。(オーストラリア、ニュージーランド、インドなどの活動も盛んに)

2012年 ポリアモリーをテーマにしたテレビ番組やドラマが制作される。

2020年 マサチューセッツ州マービルにてドメスティックパートナーシップ制度がポリアモラスな関係に適応される。

まとめてみると、60年代のカウンターカルチャーを引き摺りつつ、80年代のアメリカに生まれたポリアモリーは、90年代に体制が整えられ、2000年代から活動として活発化されてきたように見えます。日本では2008年ごろから広まりだしたようです。

ポリアモリーの精神性「オネスティとは何か。

オネスティが回避するものを考える

ポリアモリーを語る上で多く現れるのが「オネスティ」という言葉です。「オネスティ」は日本語で「誠実さ」「正直さ」と訳されます。

ポリアモリーは複数の人との恋愛を同時に行うという恋愛スタイルのことですが、そこには「オネスティ」があることが重要です。

複数恋愛における「オネスティ」とはどういうことかというと、「交際相手全員に自分の交際について正直に話し、同意を得る」ということです。

誰か一人でも関係を知らない人がいれば、ポリアモリーではないと定義されるほど、ポリアモリーにおいて「オネスティ」が重要です。

逆に考えると、複数恋愛における嘘や嫉妬を「オネスティ」で回避し、関係を持続させるのがポリアモリーだと言えそうです。

この時、「オネスティ」は「他の人とも恋愛する可能性があります」という「恋愛スタイルの契約」もしくは「宣誓」として機能していると考えられます。

こうした契約に基づく関係を構築するのが、ポリアモリーに特徴的な精神性と言えるでしょう。

★考察★ ポリアモリーの可能性、別れを回避する構造

ここでちょっと面白いなと思ったので考察を交えてみます。

ポリアモリーの「契約」に着眼して、その構造をモノガミー恋愛と比較して図式すると

モノガミーの場合

「好き→つきあう」という流れなわけですが、

ポリアモリーの場合

「好き→付き合い方に双方が合意する(契約)→つきあう」

ということになります。間に契約が挟まっているのがわかります。

それで、ここから見える一つの構造がとても面白いと思うのですが、実はこれだと、「別れ」が回避できるのです。

モノガミーの場合

「好き→つきあう→他の人が好き→別れる」

ポリアモリーの場合

「好き→付き合い方を決める(他の人も好きになるよ)(契約)→つきあう→他の人が好き→つきあう」

このように、事前の合意に基づき、別れを回避し、無限に交友関係が広げることができるのです。

このように捉えると、ポリアモリーは恋愛というよりは、契約をもとに終わりなく広がっていく交友関係と言えるような気もします。

恋愛の舞台にあがってしまうと、浮気などと言われがちなポリアモリーですが、恋愛とは別のライフスタイルとして確立される、もしくはそこからポリアモリーとは別のライフスタイルが生まれてくる可能性があると私は思っています。

ポリアモリーの人口 

現在、日本で何人くらいがポリアモリーを自認しているか。

気になる点ですが、具体的な数字は出ていません。

アメリカで行われた疫学調査では、アイデンティティとしてポリアモリーだと思う人は200万人と推定されています(『恋人はひとり、じゃなくてもいい』p25参照)が、それが本当なら驚きです。日本での推定は75万人とされています。

ポリアモリー的な人間関係いろいろ

ポリアモリーを考える時、ポリアモリーに類似している、またはポリアモリーから派生した人間関係についても把握しておく必要があります。

それらの構造とポリアモリーがどう違うかによってポリアモリーの特異性が見えてきます。

・オープンリレーションシップ

(パートナー以外の人との恋愛や性愛をオープンにしている恋愛関係)

・トライアド

(ポリアモリーの一形態、三人のあいだで相互にパートナーシップ関係にある状態)

・ヴィー

(ポリアモリーの一形態、中心に一人を配置し、その一人が二人とパートナーシップを結ぶ)

・ポリフィディリティ

(ポリアモリーの一形態、ポリアモリーグループ内で性的関係を完結させている)

・リレーションシップアナーキー

(特定の人間との関係を既存の「恋人」や「友人」などのカテゴリに分けない、個別で独自の人間関係を構築する)

私の話になって恐縮ですが、私が自分の理想とする関係としているのが、リレーションシップアナーキーです。

恋人とか、婚姻にとらわれない人間同士の関係というものがあると思っており、ポリアモリーではないのですが、人間同士の関係性の豊かさを追求したい気持ちがあります。

まとめ ポリアモリーは怖くない。

現在の日本では、モノガミーのライフスタイルが推奨されています。

教育も文化もモノガミーの価値観を基礎に作られています。ポリアモリーという価値観を受け入れる土壌はほとんど育っていません。

しかし、少子化、非婚化がすすむ現在、これからの社会を考えるうえで、新しい婚姻のスタイルや恋愛のしかた、人間関係の多様性を追求していくことは必要なことだと思われます。

モノガミー社会において、ポリアモリー批判、風紀の乱れのように考える人が多いことは理解できますが、ポリアモリーは決して乱婚や不倫、浮気を推奨するものではありません。

むしろ、私たちが直面する結婚の継続の困難さや、セックスレス、孤独死などの問題にとって新たな解決法のアイデアを与えてくれるものかもしれません。

最後にポリアモリー関連の書籍をいくつか紹介しておきますので、興味がある方はぜひ、読んでみてください。

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